日本の入管制度は「激変」する~外国人材と企業が今すぐ知っておくべき5つの変化~

「最近、外国人に関する制度が大きく変わるらしい」

そのような話を耳にし、漠然とした不安を感じている外国人の方や、外国人材の採用・定着に悩んでいる企業担当者の方も多いのではないでしょうか。

2026年から2027年にかけて、日本の外国人受入れ制度は大きな転換期を迎えています。

政府は、外国人材を受け入れる一方で、在留資格の適正な運用、税金や社会保険料の納付、在留状況の把握などを一層厳格化する方向性を示しています。

ただし、報道やSNSでは、検討段階の内容と確定した制度が混同されているケースも少なくありません。

そこで今回は、2026年7月時点の公式情報を基に、外国人本人と受入企業が押さえておきたい5つの変化を整理します。

永住許可は「取得後」も含めて管理が厳格化する

高度外国人材については、現在も高度人材ポイントが70点以上の場合は3年、80点以上の場合は1年の在留実績で、永住許可申請に必要な在留期間が緩和される制度があります。

一部では、「70点以上の3年ルートが廃止され、5年になる」といった情報も出ていますが、2026年7月時点で、出入国在留管理庁の公式情報から一律の廃止は確認できません。

したがって、現段階で「2027年4月から3年ルートがなくなる」と断定するのは適切ではありません。

一方で、永住許可制度全体については、より適正な運用を求める方向に進んでいます。

2024年に成立した改正入管法では、故意に税金や社会保険料を納付しない場合などに、永住者の在留資格を取り消し、別の在留資格に変更する制度が設けられました。

今後は、永住許可を取得するまでだけでなく、取得後も住民税や所得税の納付、年金・健康保険料の納付、在留カードや住所変更等の届出、法令を遵守した在留生活を送ることが重要です

外国人本人だけでなく、支援する企業側も、税金や社会保険の未納が在留資格に影響する可能性を理解しておく必要があります。高度人材の永住期間短縮制度は、現在も公式に案内されています。

在留資格の更新・変更手数料が大幅に上がる可能性がある

さらに、2026年6月に公布された改正法では、在留資格変更、在留期間更新、永住許可などの手数料について、法律上の上限額を引き上げる改正が行われています。

改正内容として在留資格変更・在留期間更新などが上限1万円から10万円へ、永住許可が上限1万円から30万円へ上がることが示されています。

ただし、これは実際に支払う手数料が直ちに10万円、30万円になるという意味ではありません。

具体的な手数料額、施行時期、減免措置などは、政令等で今後定められます。2026年7月時点では、法務大臣も具体額は未定と説明しています。

それでも、手数料が今後大きく上昇する可能性はあります。

特に注意が必要なのが、1年の在留期間を繰り返し付与され、その都度更新しているケースです。

更新回数が多ければ、本人や企業の費用負担が重くなります。

ただし、「申請書類を詳しく書けば必ず3年や5年が付与される」というものではありません。在留期間は、本人の活動内容、勤務先や事業の安定性、納税状況、届出状況などを総合的に見て判断されます。

企業と本人は、普段から雇用契約、給与支払い、社会保険加入、業務内容などを適切に管理しておくことが重要です。

「技人国」は日本語能力だけでなく、実際の業務内容が厳しく見られる

2026年4月、出入国在留管理庁は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」に関する考え方を更新しました。

特に、翻訳・通訳や接客など、言語能力を利用する対人業務について、在留資格に該当する業務と、単純労働に当たる業務の区別が改めて整理されています。

一部では、「2026年4月15日から、中小企業で働く技人国外国人にはJLPT N2が一律で必須になった」と説明されています。

しかし、すべての技人国申請者に対し、一律にJLPT N2の提出が義務付けられたわけではありません。

重要なのは、日本語能力の証明だけではなく、実際に行う仕事が専門的な業務であるかどうかです。

例えば、ホテルや飲食店で「通訳」「海外顧客対応」「企画」などの名目で採用していても、実際の仕事の大半が清掃、配膳、製造ライン作業などであれば、問題となる可能性があります。

技人国は、大学等で学んだ知識や一定の実務経験を生かす専門職向けの在留資格です。

単純労働が中心であれば、業種によっては「特定技能」など別の在留資格を検討する必要があります。

企業は、求人票や雇用契約書に専門業務を書くだけでは不十分です。

実際に担当した企画書、報告書、翻訳資料、顧客対応記録、システム開発資料などを保存し、専門的な業務を継続して行っていることを説明できる状態にしておくことが重要です

在留カードとマイナンバーの一体管理

2026年6月14日から、在留カードとマイナンバーカードの機能を一体化した「特定在留カード」の運用が始まりました。

特定在留カードの取得は任意です。

一体化を希望しない場合は、従来どおり在留カードとマイナンバーカードを別々に持つこともできます。

特定在留カードでは、在留カードとマイナンバーカードの機能を1枚に集約できるほか、在留手続とマイナンバーカード関連手続の一部をまとめて行えるようになります。

また、新しい様式では券面の記載事項が変更され、在留期間など一部の情報はICチップ等で確認することになります。

利便性が向上する一方、企業側には新しいカードの確認方法への対応が必要です。

2026年6月14日以降に交付される新様式の在留カードでは、在留期間などが券面だけでは確認できない場合があります。

そのため、雇用時や在留期間更新時には、出入国在留管理庁が提供する読取アプリなどを利用し、在留期間や就労制限を正確に確認する必要があります。

「カードを見ただけでは在留期限が分からない」というケースが出てくるため、企業の外国人雇用管理も見直さなければなりません。

技能実習制度が終了し、「育成就労制度」が始まる

2027年4月1日から、技能実習制度に代わり、新しい「育成就労制度」が施行されます。

技能実習制度は、技能移転による国際貢献を目的としていました。

これに対し、育成就労制度は、人手不足分野において外国人材を育成し、原則3年間で特定技能1号水準の人材に育てることを目的としています。

育成就労制度では、一定の条件を満たした場合、本人の希望による転籍が認められます。

ただし、外国人がいつでも自由に転職できるわけではありません。

同一業務区分であること、一定期間就労していること、技能や日本語能力などの要件を満たすことが必要です。

制度開始に先立ち、2026年4月15日から監理支援機関の許可申請受付が始まり、2026年9月1日から育成就労計画の認定申請受付が始まります。そして、2027年4月1日から制度の運用が開始されます。

企業にとっては、「採用すれば3年間辞めない」という発想が通用しにくくなります。

外国人材から選ばれるためには、適正な給与と昇給制度、残業時間や休日の適切な管理、日本語学習の支援、技能を習得できる教育体制、ハラスメント防止、特定技能への移行支援、外国人にも分かりやすい評価制度などを整備する必要があります。

今後は、外国人材の採用力だけでなく、育成力と定着力が企業間の差になります。

経営管理ビザでは「事業の実態」を説明する経営計画が重要になる

外国人が日本で会社を経営するために必要となる「経営・管理」の在留資格では、会社を設立したという事実だけではなく、「実際にどのような事業を行い、今後も継続して経営できるのか」を具体的に説明することが求められます。

そのため、決算内容や事業の状況によっては、今後の事業計画や収支計画を整理した経営計画書が重要な役割を果たします。

私自身も、これまで外国人経営者の事業計画策定を支援してきました。

① 中国人経営者(プラスチック回収業)の経営管理ビザ更新支援

中国籍の経営者が営むプラスチック回収業において、経営管理ビザの更新に向けた支援を行いました。

まずは経営者へのヒアリングを実施し、現在の事業内容や取引先、売上の状況、今後の営業方針、設備投資の予定、収支見込みなどを丁寧に整理しました。

その内容を基に約10ページの経営計画書を作成し、事業の継続性や将来性が伝わるよう文章と数値の両面からまとめました。

その結果、無事に経営管理ビザを更新することができました。

もちろん、ビザの許可・不許可は出入国在留管理庁が総合的に判断するものであり、経営計画書だけで許可が決まるものではありません。しかし、事業の実態や今後の展望を分かりやすく整理して説明することは、審査において非常に重要な要素だと考えています。

② AI企業を設立予定の外国人起業家へのスタートアップビザ取得支援

現在は、日本でAI関連企業の設立を目指す外国人起業家に対し、スタートアップビザの取得から将来的な経営管理ビザへの移行を見据えた伴走支援を行っています。

支援では、どのようなサービスを提供するのか、市場にはどのようなニーズがあるのか、日本で事業を行う必要性は何か、どのような営業活動で顧客を獲得するのか、売上・利益・資金繰りはどのように計画するのかといった内容を、一つひとつ整理しながら事業計画を作成しています。

スタートアップビザや経営管理ビザでは、「会社を作りたい」という思いだけでは十分ではありません。事業の実現可能性や継続性を、客観的に説明できる計画が求められます。

私は中小企業診断士として、事業計画の策定や収支計画の作成、経営戦略の整理などを通じて、外国人起業家が日本で事業を軌道に乗せられるよう支援しています。

スタートアップビザや経営管理ビザの取得・更新に向けて、「事業計画をどのように作ればよいか分からない」「更新時に事業の継続性をどのように説明すればよいか悩んでいる」という方は、お気軽にご相談ください。